
3階建てについて解説いたします
そこで彼は注射器をモルヒネで満たす際に、この機を利用して自分に注射し、その残りを同じ針、すでに自分のC型肝炎感染血液で汚染された針を使って患者に注射していたのである。
これまで私たちはウイルスが宿主の間をどのように渡り歩くかを見てきたが、ウイルスが新しい宿主を見つけることは、この物語のほんの始まりにすぎない。
彼らウイルスは、宿主細胞が活動を開始するまえに細胞に侵入しなければならないが、ここでもまたウイルスは、著しい臨機応変の才を見せる。
正常な細胞は、ホルモンや成長因子のような化学物質の海に浸っているが、それらの化学物質はみな細胞に入り込む道を探している。
しかし彼らの進入は、細胞表面にある一連の受容体分子によって制限されている。
これら受容体は細胞の錠の役を務めていて、おのおのの錠はそれにぴったり一致する特異的な化学物質の分子鍵によってしか開けることができない。
このように入口が制限されていることによって、おのおののタイプの細胞がそれぞれ適切にふるまうことを保証されるのである。
神経細胞は神経細胞成長因子に応答し、T細胞はT細胞成長因子に応答する。
しかしこの仕組みは、細胞に接近する道筋をウイルスに提供することにもなる。
ウイルスは自分の表面に分子鍵を携えることによってさも正常な身体の一部かのように変装し、それに合う錠をもったどんな細胞にもしっかりとくっついて、そのなかへ入り込むことができるのである。
このようにウイルスが感染する相手は、自分の鍵がぴったり合う特異的な分子錠を提示している細胞だけであり、このような制限によって個々のウイルスが引き起こす病気の種類が決められるのである。
選択すべき分子の種類は数百あるので、ウイルスは多種多様の病気を引き起こすことができることになる。
よく知られた例はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)で、これはCD4と呼ばれる細胞表面分子に対する鍵を携えている。
それゆえ、このウイルスはCD4陽性細胞に感染してそれらを破壊する。
これらの細胞は免疫系のはたらきにとって中心的なものであり、新しいものと交換されるよりも速い速度でウイルスによって破壊されると、体の免疫防衛体制は崩壊し、その結果が後天性免疫不全症候群(エイズ)となるのである。
シドニーのR・A病院にいたオーストラリアの眼科医S・N・Gは、ウイルスが母親から胎内の子供へ直接に伝染しうることを発見した最初の人である。
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